No Room for Squares!

街と猫と追憶を撮る

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

鬼首の町

秋田県側から宮城の鳴子とか仙台に行く時は、僕は国道108号線を使う。それは幾つかの峠を越えるルートである。秋田県の秋の宮(湯沢市の地区名で、菅首相の出身地)から県境の峠を超えて、最初に着くのが「鬼首(大崎市)地区」である。鬼首温泉郷として…

刻の停まった場所

廃業した洋服店。ショーウィンドーが、そのまま残されている。内部には、舞踏会のような服を纏ったトルソー、帽子とスーツが決まったダンディな男性マネキン、海亀の剥製が残る。まるで刻が停まった、いや封印されたような場所だ。僕はここが好きで、よく写…

アルファ米の五目ご飯を食べてみた

去る2月13日に福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、福島県と宮城県で最大震度6強を記録した。その後も余震が続発し、より大きな地震の「前震」ではないかと不安になった。そこで当面の食料をストックしたのだが、その中に「アルファ米…

視点

全く同じものを撮影しても、どこを見るかによって、全く別物になる。写真の面白いところでもあり、怖いところでもある。これは繁華街にあるキャバレー(的なもの)のネオン看板の電球である。全く同じものを、異なる方向から異なる解釈で撮った。いつか夜に…

道はときに曲がりもするが 曲げちゃならない人の道

岩手県の紫波町日詰地区(旧・日詰町)。先週(厳密には先々週)に鉛温泉に行った際に立ち寄った。この町は、「銭形平次」の原作者である野村胡堂氏の出身地である。花巻と盛岡の中間辺りに位置する町だ。ここは上原師匠の強い勧めで行った町だった。町は素…

青空~昼の中の夜にして深みを増した昼の青

何この嘘っぽい青。そう思う方もいるだろう。加工した青ではない。フィルター類も使っていない。要は「空の青み」が非現実的だったのである。正直、肉眼ではそんなに濃い青にも見えない。恐らく、光化学スモッグ的な不純物がないから、すっきり写るのかもし…

土沢を往復するだけの写真(終)~名残惜しさを土産にしよう

市役所の支所駐車場からJR土沢駅までの約500〜600mを往復して撮っただけの写真。駅の待合室でレンズ交換をし、復路は35mmレンズで撮る。僕の標準レンズだ。当然こちらの方がしっくり来る。特段丁寧に撮ったわけでもないし、疲れて集中力が鈍ったわけ…

土沢を往復するだけの写真②~ライカ的写ルンです

往復のうち「往路」の写真だから、比較的横道に逸れずに撮るだろうし、その日の初見のものは、往路で大抵撮るだろう。だから枚数的には往路が多くなるとは想像していた。実際蓋を開けてみると、往路の写真は7割を優に超えていた。復路では多少疲れて集中力…

土沢を往復するだけの写真①~24㎜の街角往路

岩手県の花巻市土沢地区。ここは比較的最近来るようになった町で、初めて写真を撮ったのは2017年のことだ。亡き上原師匠に教えて頂いた町で、すぐに気に入った。ここでの散策パターンは、いつも同じだ。市役所(支所)の駐車場に車を停め、500~60…

薔薇の花一輪、その意外な正体

今年は定期的に暴風雪が吹き荒れる。他の方のブログを見れば、梅が咲いていたりして驚く。僕の住む地では、春はまだまだ先のことだ。そんな我が家のダイニングテーブルの上には、赤い薔薇が一輪。無論、これは造花である。もっといえば、これはお風呂に入れ…

鄙びた温泉の初心者あるある

久しぶりに岩手花巻の鉛温泉に宿泊した。ホームグランドの「湯治部」ではなく、今回は「旅館部」の宿泊だ。湯治部は、写真撮影のホームグランドなので、その準備と気持ちが整ってから行きたい。思い返せば、僕も東北の鄙びた温泉に慣れてきた。実は僕だって…

花巻の光と影〜色なき影編

花巻に「高権」というラーメン屋さんがあった。「ごん麺」という餡かけの麺が大人気で、冬にもなれば来店客の9割は「ごん麺」を注文していた。いつまでも冷めずに熱いまま食べることができた。椎茸の良い出汁が沁みていた。店は大繁盛で引っ切り無しに客が…

花巻の光と影〜光編

光と影は対極的な二つの要素ではなく、本質的には同一なものである。この齢になって、つくづくそう考えるようになった。光は影であり、影はまた光である、と。今回、久しぶりに岩手花巻の鉛温泉に行ってきた。多い時は、年に10回近く行ってたこともあるが…

金網の向こうの軽便鉄道

花巻電鉄は、かつて岩手県に存在した鉄道会社である。その花巻電鉄は、かつて花巻から西鉛温泉までの18.6kmを結ぶ軌道線(軽便列車)を運行していた。その路線は、志戸平温泉、大沢温泉、山の神温泉等を経由して、僕の定宿である「鉛温泉」へと向かう。今で…

冬の鰻も良いものだ

秋田県の豪雪もひと段落した。安心して気が緩むと、身体が悲鳴をあげて疲れている。ここは精力をつけようと、「鰻」を食べに行った。秋田川反にある老舗「横田屋」さんである。大体、人間が考えることなんて一緒のようで、鰻屋さんは混雑していた。といって…

猫は炬燵で巣篭もりする

我が家には炬燵がない。猫が可哀想と思って、僕は自分の小遣いで「猫用こたつセット」を買ってあげた。本当の炬燵ではなく、炬燵型の猫ハウスとヒーターのセットで、こんなに小さいのに一万円近くした。それで猫が喜ぶと思えば、入れても入れてもすぐに出て…

食堂記憶遺産(ラスト)〜大山食堂

この食堂もJR酒田駅前にある。まさに駅前食堂。いつ廃業したのかは分からない。十年くらい前に、この食堂を見つけた時点では、既に営業していなかった記憶しているる。比較的建物は新しいので、その数年前までは営業していたように見える。根拠はないけど、…

食堂記憶遺産②〜中華そば屋、店名不詳

食堂記憶遺産二軒目。今回も中華そば屋さんで、昨日掲載した「大木食堂」から200〜300mほどの位置にある。JR酒田駅からも徒歩数分の場所だ。今回の物件は、かなり古そうで、店名も読み取ることはできなかった。枯れた蔦が丁度店名を隠しているところに…

食堂記憶遺産①〜中華そば大木屋

山形県酒田市に残る中華そば屋跡。現役時代(営業している時)のことは知らない。それでも何となく店内の様子や、白い前掛けをした親父の姿、岡持を付けたスーパーカブの様子などが想像できる。店は廃業しても建物は残る。例え建物が解体されても、写真や動…

裏町人生

今回の写真は、JR秋田駅前の写真である。駅前は駅前だけど、表通りから外れた裏通りとなる。今時、県庁所在地の駅前に、こんな通りがあるなんて稀有だと思う。表裏でいえば、裏にはなるけど、これが本来の地方都市の駅前のような気もする。僕はこの通りを歩…

嵐が窓を叩いた夜

朝一番にブラインドを上げると、昨夜の嵐の痕跡は窓ガラスに付着していた。北国ゆえ、窓ガラスは断熱性の高いものを使ってはいる。こんな状況でも昨夜は、普段通りの生活を送っていた。それでも雪嵐の夜に外出なんて不可能で、武漢ウイルスと関係なく、否が…

やぎ肉食うか?

初めて明かすが、僕は外国語大学を卒業している。せっせと勉強した某外国語は今では完全に錆び付いてしまったが、それでも本質的に言語に対して多少なりともセンシティブな人間だったと自負している。当初は、さっぱり分からなかった秋田弁。僕が住む地域で…

非典型的な個性を持つ脳科学者の憂鬱

人間は偉くなると、間違いを認めることが難しくなるようだ。間違いを恐れる必要はないが、一つの間違いに固執することは恐ろしい。そう感じることがあった。以下に書くことは、僕の私感であり、実際に当事者がどう思ったのかは分からない。でも示唆に富む出…

真っ直ぐな眼差し〜例え間違ってはいても

家人から既にご飯を貰っているのにも関わらず、僕にご飯を要求する猫の眼差し。その眼には何故か曇りがない。何故平気な顔をして嘘をつくのか、そう思ったこともある。その理由が最近になって分かった。とぼけているわけではないのである。家人からはご飯を…

2ドルラーメンは消えにけり

JR羽後本荘駅(秋田県由利本荘市)の駅前に「秀峰」というラーメン屋さんがあった。正直、「草臥れたラーメン屋」そのものの店構えだった。特に混み合うこともなかったけど、その割には入れ替わり立ち替わりで客は来た。ここでは「なんと250円」という激安の…