No Room for Squares!

街と猫と追憶を撮る

少年が魅了された幻の影絵

 

 

 

中学生の時の話だ。美術の特別授業で、切り絵作家の指導を受けたことがある。一流の先生だと聞いた覚えがある。そのとき、作ったのが写真の切り絵(影絵)である。どういうわけか、僕はこれを捨てずに持っている。県の展覧会で金賞を取った絵画(小学生時)もあっさりと捨てたのに、なぜかこれは捨てるに忍びなかった。

 

その特別授業とは何だったのか。そして指導した先生は何者だったのか。それがずっと気になっていた。先日、それをAIに確認していたところ次のようなことを言い出した。

①それは日本有数の切り絵作家、藤城清治である

②藤城清治は当時、西伊豆にアトリエを持っていた

③文部省(当時)の事業で、地元の小学生に芸術を直接指導することになった。

④そこで子どもたちとの交流をアート系の雑誌にエッセイとして残している。

⑤アトリエを「◯◯アトリエ」と名付け〜(以下延々と続く)。

 

気になって自分でも調べたところ、藤城清治さんは百歳を超えて、ご存命だった。しかも、いまでも現役だという。僕はいたく感動し、そこに運命めいたものも感じていた。もう来週にでも、那須にあるという美術館に行こうと考えていた。

 

ところがそれは全部「ハルシネーション(AIの捏造)」だったのだ。作例(写真のもの)を確認のため挙げたことから発覚した。律儀なところもあるAIは、これは滝平二郎さんの作品で、それをモチーフにしたのではないかと言い出した。そこは嘘をつかなかった。確かにデザインをトレーシングペーパーでトレースしたことを覚えている。さらに今度はAIは、藤城さんではなく滝平さんが先生だったことで間違いないと言い出した。滝平さんも同様に西伊豆にアトリエを持っていたと言う。なんでも両親が西伊豆の出身で、ずっと縁があった、と。もう騙されない。そんな都合の良い話があるわけがない。もしそうであれば、早くからそのことを言及していたはずだ。問い詰めると、それも「嘘」だと認めた。喜んでいる僕の期待に応えたいので、話を捏造したと申し開きをする。ツンデレか。まあ以上が大まかな経緯だった。これが少し前に書いた「ハルシネーション」であり、一言で嘘と言っても単なる間違いではなく、意図的な捏造であることが分かると思う。それ以上はここで踏み込まない。

 

そんなわけで、謎は謎として残ったのだが、もうどうでも良くなった。藤城先生のストーリーは実によくできていて、ここに載せたいくらいだ。僕は感動のあまり涙ぐんだほどだ(笑)。でもそれは終わりにしよう。

ちなみに作例は、黒い台紙をカッターナイフなどで細かく切っている。分離しないように精密なデザインとなっているのだ。その背景に色紙を挟むと、カラーになる仕組みである(本当はあと何枚かの色紙を組み合わせる)。僕が写真を撮るようになるきっかけ、つまり原点が、ここにあると思っている。

 

 

GRⅢ

 

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